「発作を起こさない」ことが大切です。
スピードスケートの清水宏保さんが喘息であることは有名な話です。彼がコントロールをはじめて5年、喘息を感じたのが、2〜3回、発作らしい発作は、まったくないということです。うまくコントロールし、うまくつき合うことによって、運動ができるだけでなく記録への挑戦も可能なのです。症状により10年以上と長期治療になる場合もあります。医師とタックを組んだつもりになって、きちんとじっくり続けることが、結果的に早道になります。具体的には、発作の原因を取り除き、睡眠や食事などに関する日常生活の改善、薬を総合的にコントロールすることになります。 |
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発作を止めるのでなく、気道の炎症を正常化してその維持を図るために、毎日使い続ける薬をコントローラー(長期管理薬)といいます。吸入ステロイド薬(ICS)*、テオフィリン製剤、長時間作用β2刺激剤(吸入、テープ)、抗アレルギー剤などがあります。症状がない時に使用することが多い薬なので、忘れてしまったりすることもありがちですが、自己判断で中止することは危険です。必ず医師と相談してください。
*吸入ステロイド薬(ICS)
コントローラーの代表的な薬です。ステロイド薬と聞いて不安に感じる方がいますが、もともと「ステロイド」は、体内でつくられるホルモンの一種です。ICSは、経口や注射でなく吸入なので、気道だけに作用し、経口ステロイド薬の1/100〜1/1000の量で効果がえられ、副作用も少ないと考えられます。 |
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発作を治療するため短期間使う薬をリリーバーといいます。短時間作用吸入β2刺激剤、ステロイド薬(内服、点滴)、エピネフリン皮下注射、アミノフィリン点滴などがあります。発作の時に使用する方法を医師に確認しましょう。発作止めばかり自己判断で連用するのは大変危険です。普段より短時間作用吸入β2刺激剤の使用頻度がふえているときは早めに相談して下さい。 |
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アレルギー反応がある方は、喘息発作の引き金になるの原因を取り除くことが大切です。禁煙、花粉、ダニ、ハウスダスト、ペット等のアレルゲン(アレルギーの元となる物質)の除去や軽減は、対策グッツなども進化しています。こまめに注意しましょう。運動自体が発作の原因となる方は、運動をおそれていると、体力が低下してしまいます。医師と相談しながら、発作のない時に、少しずつ運動量を増やしましょう。 |
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発作の程度、自覚症状(咳、痰、睡眠の度合いなど)、吸入や内服薬の種類や量、天気、などを毎日記録します。どんな時に炎症が悪化するかを把握することは、喘息の治療・改善に非常に役立ちます。ピークフローメーター*があれば、この値も記録します。当院に「ぜんそく日記」がありますので、ご相談ください。
*ピークフローメーター
呼吸するときの、瞬間にはき出すことのできる最大の息の速さを測定します。気道が狭くなってる場合は、数値は下がります。一日に何回か計り、変動の幅を記録することにより、症状の悪化や発作を正確に予測します。症状がなくとも炎症の度合いがわかるので、早く対処したり、無駄な薬を使用しないことも可能になります。 |
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市販の感冒薬の中にはアスピリン喘息といって喘息が誘発されるものも含まれていることがあります。風邪は、喘息発作を誘発することがありますが、薬には注意して、医師に相談してください。 |
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妊娠中の喘息発作は胎児に悪影響を及ぼすので、妊娠中であっても通常の治療をする必要があります。薬の服用を自己判断で中止するのではなく、主治医と相談しながら治療を続けていきましょう。 |